消防士・警察官・自衛官の違いを5項目で比較
最終更新:2026年7月27日(令和6年給与実態調査・最新倍率に更新)
併願されることの多い消防、警察、自衛隊。これらは公安職と呼ばれる職業です。公安職とは、主として治安をつかさどる、または治安維持に従事するものとして規定された公務員で、簡単にいえば人を守る仕事です。どれも正義感あふれる誇り高き職種であり、自らの手で人を救うという点で通ずるものがあります。
そのようなことから、消防、警察、自衛隊を併願して受験する人も多くいます。ここでは①給料 ②仕事の厳しさ ③休みの多さ ④拘束度 ⑤難易度の5つの面から比較しました。
- 採用の主体が違う……消防=市町村(=住む場所を選びやすい)/警察=都道府県/自衛隊=国
- 転勤の範囲が違う……消防は採用された市町村内のみ。警察は県内、自衛官は全国
- 初任給は消防と警察が同額……東京なら大卒321,900円で一致。自衛官は311,000円(全国一律・地域手当別)
- 採用数が違う……消防は1本部あたり数名規模の募集が多く、倍率が上がりやすい
①給料
初任給は 消防官 = 警察官 > 自衛官
3職種は採用主体が異なるため、給料表もそれぞれ別です。まずは同じ土俵で比べられるよう、東京で採用された場合の初任給を並べます。
| 職種(採用区分) | 大卒程度 | 高卒程度 |
|---|---|---|
| 消防官 東京消防庁 Ⅰ類/Ⅲ類 |
321,900円 | 279,400円 |
| 警察官 警視庁 Ⅰ類/Ⅲ類 |
321,900円 | 279,400円 |
| 自衛官 一般幹部候補生(任官時)/一般曹候補生 |
311,000円 | 239,500円 |
消防官=東京消防庁の令和8年度採用案内(地域手当含む。専門系は約326,100円)。 警察官=警視庁採用サイト(令和7年4月1日現在の給料月額+地域手当20%)。 自衛官=防衛省「令和7年人事院勧告の自衛官等給与等の改正」(令和8年1月15日現在)。
どちらも東京都の公安職給料表が適用されるためで、大卒321,900円・高卒279,400円で完全に一致します。「警察のほうが給料がいい」というイメージがありますが、少なくとも入口の金額に差はありません。
自衛官が見た目で低いのは、この金額が全国一律の俸給月額で、地域手当を含んでいないためです。加えて自衛官には次の特徴があります。
- 営内居住なら住居費・食費が不要(宿舎と食事が支給される)
- 被服も貸与されるため、手取りベースでは額面以上に手元に残りやすい
- 賞与は年4.65月分(消防・警察もおおむね4.5〜4.7月分で大きな差はない)
- 任期制の自衛官候補生には、任期満了ごとに退職金(陸1任期78万円など)が支給される
生涯で見た平均給与月額
入口ではなく、全年齢の平均で見るとどうでしょうか。総務省「令和6年 地方公務員給与実態調査」(令和6年4月1日現在)による平均給与月額(給料月額+諸手当)は次のとおりです。
| 職種 | 平均給与月額 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 警察職 | 475,875円 | 39.3歳 |
| 消防職 | 410,279円 | 約40歳 |
警察職は同調査「第9表 職種別平均給与月額」、消防職は同調査をもとに当サイトが算出(消防士の給料参照)。自衛官は国家公務員のため、この調査(地方公務員が対象)には含まれません。
初任給は同額でも、平均では警察職のほうが月6万円ほど高くなります。理由は諸手当で、警察職は月14万円台、消防職は6〜8万円台です。深夜勤務や特殊な職務に対する手当が警察のほうが厚く設定されています。
なお「自衛官の平均年収は◯◯万円」という数字がネット上に多く出回っていますが、自衛官を対象にした公的な平均給与統計は公表されていません。出典が明示されていない数字が多いため、当サイトでは推測値を載せていません。
消防士の給料は地域手当の差で本部ごとに大きく変わります。当サイトが集計した令和8年度の大卒程度初任給は、最高326,100円(東京消防庁)から20万円前後までと幅があり、「消防士の給料」を一つの数字で語るのは実態に合いません。
仕事の厳しさ
自衛官 > 警察官 > 消防士
仕事の厳しさで見ると、自衛官がトップ、次に警察官、最後に消防士がきます。 これも一概に比較はできませんが、やはり自衛隊の厳しさは群を抜いているように思います。何週間も山に籠り、何十キロもある装具を身に着け、不眠不休での戦闘行動等、一般人には考えられないような訓練をします。 戦争と同じ状況を作り、本番さながらの訓練を定期的に行うので、体力的にも精神的にも相当キツイものがあります。
③休みの多さ
消防士 > 自衛官 > 警察官
休みの多さでは、消防士がトップとなっています。基本的に24時間勤務の消防士は、まる一日働いたら、翌日はまる一日非番となります。非番は休みとは違いますが、何もなければ休みのようなものです。フリーに使える時間としては消防士が一番多いということでしょうか。
この勤務形態は2部制(隔日勤務)と呼ばれ、当番→非番→休みを繰り返します。カレンダー上の休日は少なく見えても、実際に自由に使える日数は民間の週休2日より多くなるのが特徴です。3部制を採る本部もあります。
次に多いのは自衛官。ゴールデンウィークやお盆休み、年末年始休暇など、1〜2週間程度まとまった休みが取れるのは自衛官ならではです。
④拘束度
自衛官 > 警察官 > 消防士
拘束度に関しては、自衛官が一番厳しく、次に警察、消防と続きます。
自衛官は有事の際に即応体制が取れるように、基本的に駐屯地内で暮らしています。結婚して外に住む場合も、多くは駐屯地から徒歩圏内の官舎に住むことになります。
自衛官の拘束度ほどではありませんが、警察・消防も非常時には休日でも招集がかかったりと、民間企業に比べればはるかに拘束度合いは強くなっています。消防の場合は管轄内またはその近隣への居住を条件にする本部もあり、住む場所が実質的に限定されることがあります。
⑤難易度
消防士 > 警察官
難易度では消防士がトップとなっています。消防は警察や自衛隊と比べ、圧倒的に採用人数が少ないのが理由です。地方では毎年1名しか採用しない本部もあり、それだけに狭き門となっています。
ただし「消防は10倍以上が当たり前」というのは、必ずしも現在の実態ではありません。当サイトが集計した東京消防庁の令和7年度の実質倍率(第1次受験者数÷最終合格者数)は次のとおりです。
| 区分 | 1回目 | 2回目 |
|---|---|---|
| Ⅰ類(大卒程度) | 4.1倍 | 9.4倍 |
| Ⅲ類(高卒程度) | 4.9倍 | 9.2倍 |
東京消防庁の令和7年度採用試験の合格発表資料をもとに当サイトが算出。
かつては10〜20倍と言われた東京消防庁でも、1回目の試験は4〜5倍台まで落ち着いています。一方、2回目(追加募集)は採用数が絞られるため9倍台と高くなります。受験する回や本部によって倍率は大きく変わるので、平均値ではなく受験先の実数を確認することが重要です。
結局、どれを選ぶべきか
5項目を並べると、消防は「休みが多く・転勤がない代わりに、採用数が少なく倍率が高い」という特徴がはっきりします。逆に警察・自衛隊は採用数が多く門戸が広い一方、転勤や拘束度の面で生活の自由度は下がります。
| こんな人は | 向いている職種 |
|---|---|
| 地元で働き続けたい | 消防士(採用された市町村内のみの異動) |
| まとまった自由時間がほしい | 消防士(当番・非番のサイクル) |
| 給与を重視したい | 警察官(諸手当が厚い) |
| 採用数の多さ・入りやすさ | 警察官・自衛官 |
| 人命救助に直接関わりたい | 消防士(救助・救急が主任務) |
併願する場合は試験日程の重複に注意してください。消防は一次試験日が9月20日前後に集中しており、当サイト集計では268区分が9月20日・21日に実施されています。警察・自衛隊とは日程が異なることが多いので、併願そのものは十分可能です。
よくある質問
Q. 消防士と警察官、どちらが給料が高いですか?
A. 初任給は同額です。東京で比べると、東京消防庁のⅠ類も警視庁のⅠ類も大卒321,900円、高卒はどちらも279,400円で、同じ公安職給料表が使われています。ただし全年齢の平均では警察職のほうが高く、総務省「令和6年 地方公務員給与実態調査」の平均給与月額は警察職475,875円(平均39.3歳)に対し消防職410,279円です。差の主因は諸手当で、警察職は月14万円台、消防職は6〜8万円台となっています。
Q. 自衛官の給料は消防士より低いのですか?
A. 額面だけを見ると低く見えますが、単純比較はできません。自衛官の初任給は一般幹部候補生(大卒任官時)311,000円・一般曹候補生(高卒)239,500円(防衛省・令和8年1月現在)で、これは全国一律の俸給月額で地域手当を含みません。加えて営内居住なら住居費・食費が不要、被服も貸与されるため、手取りベースでは額面以上に手元に残ります。また、自衛官を対象にした公的な平均給与統計は公表されていないため、「自衛官の平均年収◯◯万円」という数字の多くは出典が不明です。
Q. 消防・警察・自衛隊は併願できますか?
A. できます。試験日が重ならなければ何か所でも受験でき、受験料も無料です。ただし消防同士の併願は要注意で、当サイト集計では一次試験日が9月20日・21日に268区分集中しています。消防と警察・自衛隊は日程が異なることが多いため、併願先として選ばれやすくなっています。
Q. 消防士はやっぱり倍率が高いですか?
A. 採用数が少ないため高くなりがちですが、「必ず10倍以上」ではありません。東京消防庁の令和7年度の実質倍率はⅠ類1回目4.1倍・Ⅲ類1回目4.9倍でした。一方で2回目の試験は9倍台、地方の小規模本部では30倍を超えることもあります。受験先ごとの実数を確認してください。
Q. 転勤が一番少ないのはどれですか?
A. 消防士です。市町村ごとに採用されるため、異動は原則としてその市町村内の消防署間に限られます。警察官は都道府県内、自衛官は全国転勤が基本です。地元に定住したい人には消防が向いています。