難易度と勉強期間
消防吏員(消防士)は各市町村ごとに採用される地方公務員ですので、採用試験も公務員試験に準じて行われます。 筆記試験のレベルとしては、地方公務員(市役所)試験と同程度の問題が出題されます。ただし、消防の試験には専門試験が免除されており、代わりに体力試験を課している自治体がほとんどですので、 勉強量に関しては、地方公務員試験よりも少なく済みます。
次に倍率に関してですが、消防の職種は公務員の中でも人気の職種であり、採用人数も少ないことから、倍率は高めとなっています。
以下の表は、東京消防庁と警視庁の過去の倍率の比較表です。
東京消防庁 | 警視庁 | ||
---|---|---|---|
令和3年度 | Ⅰ類 | 7.2倍 | 5.7倍 |
Ⅲ類 | 20.3倍 | 8.5倍 | |
令和2年度 | Ⅰ類 | 6.8倍 | 4.6倍 |
Ⅲ類 | 7.7倍 | 7.2倍 | |
令和元年度 | Ⅰ類 | 8.8倍 | 4.9倍 |
Ⅲ類 | 27.4倍 | 12.3倍 | |
平成30年度 | Ⅰ類 | 11.2倍 | 5.9倍 |
Ⅲ類 | 17.7倍 | 6.6倍 | |
平成29年度 | Ⅰ類 | 17.5倍 | 5.7倍 |
Ⅲ類 | 20.0倍 | 6.5倍 |
※東京消防庁Ⅰ類の倍率にあっては、1回目(5月実施分)の倍率
※警視庁の倍率にあっては男性警察官の倍率
ご覧のとおり、東京消防庁の倍率は警視庁に比べて高いことがわかりますね。 消防も警察も試験の難易度としては同程度ですが、倍率に関しては消防の方が高く狭き門となっています。
消防、警察ともに人気の職種で、受験者も多くいますが、消防に関しては採用人数が少ないため、倍率も高くなります。
東京消防庁の場合、倍率は毎年10~20倍前後が相場ですが、地方に行けば採用人数が1人であったり、年度によっては採用しない年もあったりします。 そのため、田舎の自治体では、倍率がさらに跳ね上がることも珍しくありません。
一次試験突破のために必要な勉強期間
消防の採用試験では、一般的に一次試験で教養や論文といった筆記試験が行われます。 筆記試験を突破できなければ、いくら体力に自信があっても、面接が得意でも消防士になることはできません。 では、消防の一次試験を突破するまでに必要な勉強期間を見ていきましょう。勉強期間の目安:
3ヵ月 | 6ヵ月 | 1年 | |
独学 | 非常に厳しい | 可能 | 望ましい |
予備校 | 厳しい | 望ましい | 十分 |
独学組は、1年程度の勉強期間が望ましいですが、本気で勉強すれば、半年間でも合格レベルに達することは可能です。
試験まで半年も残されていない…という人も、最低でも3ヵ月は必要と考えてください。
ただし、3ヵ月で合格レベルに達するには、大手予備校に通い効率的な勉強をする必要があります。可能な限り予備校に行くことをお勧めします。
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勉強期間は長ければいいと言うわけではない
勉強期間は長ければ長いほど良いと言うわけではありません。 独学では1年間程度の勉強が望ましいですが、予備校では1年間勉強したら十分です。 独学組も予備校組も1年以上の勉強は効率的でないのです。公務員試験は、勉強すれば解ける問題と、勉強しても解けない問題の2つが存在します。 そして、試験を突破するには6~7割程度の正答率があれば受かります。満点は必要ないのです。
1年以上の勉強期間があれば、満点を目指して勉強してしまいがちですが、解けない問題はいくら勉強しても解けるようにはなりません。 制限時間が限られているため、解けない問題は最初から手を出さず、その分の時間を解ける問題に当てた方が効率的です。 試験は4~5択のマークシート方式のため、当てずっぽうでも20~25%は当たります。
超難問に時間を割くよりも、解ける問題を確実に解く方がはるかに大事です。 あなたの目的は、試験で満点を取ることではなく、消防の試験に合格することですよね。そこを間違えてはいけません。
繰り返しますが、公務員試験は、解けるレベルの問題をいかに確実に、時間内に解くことができるかがすべてであり、 解ける問題を確実に解けるようにするには1年間あれば事足ります。
それ以上勉強しても解けないレベルの問題は解けるようになりませんし、あまり長い期間勉強しても前に解けていた問題を忘れていくだけです。
そのようなことからも、長くても一年程度の勉強期間が望ましいと言えるでしょう。