消防士になりたい人のための採用試験攻略サイト

消防士の給料

消防職員は、各市町村ごとに採用される地方公務員です。なので、決して高給な職業ではありませんが、収入面では安定しています。 また、消防の仕事は、24時間勤務という特殊性や職務上危険を伴う現場での活動を強いられたりすることから、様々な手当てが付きます。

そのようなことから、他の役所職員と比べると、若干ですが給料は高い傾向にあります。 裕福でぜいたくな暮らしができる程の収入は期待できませんが、家族を養い人並みに普通の生活をしていく分には問題ない水準と言えるでしょう。

消防士の平均年収

はじめに消防士の平均年収(給料+手当+賞与)をみてみましょう。

全国の消防士の平均年収は、641.1万円(2019年)。
この年の民間企業(正規、非正規)の平均年収が436.4万円。正規社員のみでは503.4万円、非正規社員のみでは174.6万円となっています。

単純比較はできませんが、全国平均でみると民間企業に比べ、消防士の年収は高いことがわかります。

ちなみに、この年の国家公務員の平均年収は677.7万円ですので、消防士の年収は低所得ではありませんが、高所得の職業とも言えないことがわかります。

参考資料:
総務省「平成31年 地方公務員給与の実態」
国税庁「令和元年 分民間給与実態統計調査結果」
人事院「国家公務員給与等の実態統計調査の結果」(2019年)


消防職と一般行政職の給料を比較

消防士の給料は、多職種の公務員と比べてどうなのでしょうか。ここでは同じ自治体採用の一般行政職と比較してみたいと思います。

公務員の給料は、学歴によって水準が異なり、一般的に勤務年数が長いと給料も高くなる傾向があります。 では、相模原市を例にして学歴別、勤続年数ごとの平均給料を比較してみましょう。

相模原市の場合

大学卒

職種 勤続10年 勤続20年 勤続30年
消防職 276,139円 384,889円 413,375円
一般行政職 259,971円 355,221円 399,741円

高校卒

職種 勤続10年 勤続20年 勤続30年
消防職 245,000円 335,114円 402,316円
一般行政職 226,500円 319,433円 380,150円

上記が学歴ごとにみた経験年数別の平均給料です。消防職の給料は一般行政職よりも若干高いことがわかります。いったい、この差はどこから生まれるのでしょうか。

地方公務員の給料は、各自治体の条例により明確に定められています。職種ごとに給料表という給料を算定する表があり、その表をもとに算出されます。

消防職の給料が一般行政職よりも高い理由は、職務の特殊性から給料表自体が一般行政職よりも少し高めに設定されていることからきています(自治体により異なります)。そのため消防職の給料は、一般行政職に比べ若干高くなっているのです。

ここで、上記の給料はあくまで「給料」のみの話です。実際に毎月支払われる額には、給料にプラスして、「手当」がつきます。
給料+手当=給与(月収)となります。

手当には、扶養手当、住宅手当、地域手当など様々な種類がありますが、消防士には職務特性から発生する特殊勤務手当という手当があります。
では、消防士ならではの「特殊勤務手当」にはどんなものがあるのでしょうか。

特殊勤務手当(例)


上記のように消防士は、24時間勤務や危険を伴う活動といった職務の特殊性からこのような特殊手当がつきます。

自治体ごとに手当の種類や額は異なりますが、これらの手当はどのくらいの額になるのか、東京消防庁を例にみていきましょう。

東京消防庁で救急救命士の場合、救急出動をすると1件ごとに「救急手当」が発生します。

東京消防庁の救急手当

令和2年現在

仮に、1当務で1時間未満の出動が8回、1時間以上の出場が2回あったとして、1か月分の救急出場手当はどれくらいになるのでしょうか。
例:東京消防庁 救急救命士の1ヵ月の救急出動手当

1当務で1時間未満の出動を8回、1時間以上の出動を2回した場合
1時間未満の救急出動 8回 360円×8回=2,880円
1時間以上の救急出場 2回 500円×2回=1,000円

1当務の合計
2,880円+1,000円=3,880円

月の当務数はおおよそ10当務なので、これを10当務繰り返したとすると、
3,880円×10当務=38,800円

上記の計算では、東京消防庁の救急救命士の場合、救急出動手当だけで約4万円の手当がつくことになります。


地域手当

地域手当とは、その地域の物価や民間の賃金水準を考慮した、地域格差を埋めるための手当です。

国家公務員に支給される地域手当と、消防士のように地方公務員に支給される地域手当、民間企業に支給される地域手当があり、支給額はそれぞれ異なります。

消防士(地方公務員)の地域手当は、パーセントで定められており、基本給にそのパーセントをかけた額が、毎月の地域手当の額になります。

例えば、特別区は地域手当20%となっているため、基本給(給料)が20万円であれば、20万円×20%=4万円が毎月の地域手当となります。

注意すべきは、この地域手当は、すべての市町村に支給されるものではなく、あくまで物価の高い都市部や一部の地域に限って支給されるものになります。

主な地域手当 該当地域

20%:特別区
16%:横浜市、豊田市、大阪市など
15%:さいたま市、千葉市、名古屋市、芦屋市など

すべての地域手当と該当地域は以下のリンクで紹介しています。
>>市町村別 地域手当一覧

自治体ごとの初任給

消防士の初任給は、以下のようになっています。 消防は各自治体ごとに採用されるので、その自治体が裕福であれば給料も高く、貧乏な自治体であれば給料は低い傾向にあります。 同じ消防職員でも、採用される自治体によって大きな差があることがわかります。

自治体名 大卒程度 短大卒程度 高卒程度
東京消防庁

平成27年1月1日現在

約252,000円 約231,000円 約212,000円
京都市消防

平成27年4月1日現在

約210,980円 約171,380円
名古屋市消防

平成27年4月1日現在

約199,300円 約169,400円
豊田市消防

平成28年4月1日現在

約234,784円 約205,552円 約189,312円
夕張市消防

平成27年4月現在

約161,900円 約143,900円 約131,200円
>>初任給ランキングはこちら

よく例に挙げられる東京消防庁の初任給を見ると、消防士の初任給は高いように思えます。

しかし、東京消防庁は消防の中で日本一初任給の高い自治体なので、そこを基準に考えるのはナンセンスです。表を見て分かる通り、自治体によって給料の額は様々です。

例えば、トヨタ自動車のホームタウン豊田市を見ると、県内の政令市、名古屋よりも初任給が高くなっていますね。

次に、平成19年に財政破綻した夕張市を見てもらうと、同じ消防職でも自治体の財政状況によって、かなり給料にも差があることがわかります。

全国的には、大卒の初任給で20万円を超えている自治体はほんの一部で、大多数の自治体の職員は決して高給とは言えない給料で働いています。

そのようなことからも、高収入を求めている人には向いていない職業と言えるでしょう。
お金のためではなく、人助けをしたいという強い思いを持った人でなければ、消防の仕事は務まりません。